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デバッグ関連① デジタルハーツHD【3676】

【業界の概要】

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 引用元 https://ssl4.eir-parts.net/doc/4442/tdnet/1831541/00.pdf

テストのアウトソーシングブルーオーシャンです。市場規模は5兆円のうち、まだ1〜2%しか外注されていないとのこと。(SHIFTでも同様の資料あり)

また、SHIFT、デジハHD、バルテス3社のエンタープライズ領域のデバッグ事業はここ数年鰻登りの勢いで成長しています。

この事がテストのアウトソーシングが加速度的に広まっていることの裏付けであると考えます。

 

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バルテスはテスト工程がアウトソースされなかった理由として、"日本では大手SIerが案件を一括受注していたため、開発エンジニアにテスト工程まで発注していた"とのこと。

またテスト工程自体を熟練者に分業することで、当然ながら効率のアップが期待できますね。

 

先日デジタルハーツHDのスポンサードリサーチレポートが公開されました。 

 https://pdf.irpocket.com/C3676/Aklh/d2qN/pYgq.pdf

これによれば、米国等の事例を参考にすると、テストの全工程をアウトソーシングできるわけではなく、多く見積もって3〜4割程度とのことです。

仮に今が2%だとしたら、市場として今後10倍超成長するポテンシャルを持っていることになりますね。

 

 

漏れがあったら是非教えていただきたいのですが、私が見つけたデバッグ事業を行っている上場企業は以下の4社です。あとは2019年にSCSK株式会社にてTOBされたベリサーブがあります。

 

 

 

時価総額()

売上()

(前期)

売上(今期予想)

営利(前期)

純利益(前期)

PER()

ROE()

ROA()

3657

ポールHD

東1

328

261

2020.01

287(21/01)

35.31

17.87

18.35

12.9%

9.6%

3676

デジハHD

東1

215

211

2020.03

211(21/03)

13.94

7.92

27.15

16.1%

7.4%

3697

SHIFT

東1

1688

195

2019.08

280(20/08)

15.4

9.70

174.02

10.3%

6.1%

4442

バルテス

M

118

48.8

2020.03

-

3.21

2.24

52.68

18.0%

10.7%

バルテスのみ今期予想が未開示なため、前期で統一して一覧にしました。

 

テスターという仕事は人数に比例して売上が伸びる労働集約型のビジネスです。

従業員数や一人頭売上高などを各社比較したかったのですが、正規・非正規・外注の割合がそれぞれ異なりますので困難でした。

 

 

今回はデジハHDに絞ってブログを書きます。 

 

【業績推移】

デジハHDは次の2つのセグメント別業績を発表しています。

 

20183月期(千円

前年比()

20193月期(千円

前年比()

20203月期(千円

前年比()

売上高(合計)

17,353,218

19,254,610

11.0

21,138,200

9.8

エンタメ事業

15,568,722

15,951,785

2.5

16,115,937

1.0

エンプラ事業

1,892,531

3,302,922

74.5

5,022,262

52.1

調整額

108,035

97

営業利益又は営業損失(合計)

1,735,864

1,605,558

7.5

1,394,065

13.2

エンタメ事業

2,966,783

3,086,397

4.0

2,964,423

4.0

エンプラ事業

14,973

226,498

67,115

調整額

1,215,945

1,254,340

1,503,242

元々はゲームやパチスロデバッグを主力としていた会社です。

決算では2018年からのエンタープライズ事業のセグメント業績が開示されています。

ここ3年間、エンタメ事業において売上高はヨコヨコ&営利減ですが、エンタープライズ事業が+74.5%、+52.1%と大きく続伸しています。

営業利益においても大幅な赤縮となっており、今期に期待が持てます。

 

従業員の状況

2018

従業員数

臨時従業員の年間平均雇用人員

2019

従業員数

臨時従業員の年間平均雇用人員

2020

従業員数

臨時従業員の年間平均雇用人員

エンタメ事業

689

3177

555

3261

552

3416

エンプラ事業

213

45

619

103

全社

61

29

94

44

159

62

合計

750

3206

862

3350

1330

3581


次に従業員数です。エンタープライズ事業については従業員数を大幅に増やしています。エンタメ事業においてはあまり変わらず。

ここで2020年における月単価を計算してみます。

エンタメ事業

16,115,937 / ( 552 + 3416 ) / 12 = 338.46千円

エンプラ事業

5,022,262 / ( 619 + 103) / 12 = 579.67千円

エンプラ事業の方が従業員比率がかなり高くはありますが、圧倒的にエンプラ事業の方が高単価ですね。

また、エンプラ事業は3Qや4QからM&Aや合弁会社が組み込まれてますので、1Q時点の人数でないということもミソになります。実力はもっと上のはず。

 

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 引用元 https://pdf.irpocket.com/C3676/H3x0/Xsps/vRXB.pdf

エンタープライズにおいては、システムテストとITサービス・セキュリティが半々程度。

ITサービス・セキュリティに関しては3Qから合弁会社を設立とあります。3Q、4Qと業績が伸びているので、この合弁会社の分だけで今期は+5〜10億程度の上積みが期待できるのではないでしょうか。

 

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システムテストに関しては4Qから子会社業績が寄与したとのことなので、これが357百万円。

単純にこれを3倍すると1070百万円になります。今期はこの上積みだけで+10億程度の売上寄与が期待できますね。

 

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最後にサービス別の売上高推移です。こうしてみるとゲームデバッグに関しても、時代の変化に合わせた経営の多角化ができる企業であると思います。

モバイルソリューションの伸びが近年の増収要因ですね。モバイルゲームのデバッグ案件のようです。ソシャゲ市場に影響されますね。

 

【成長余地】

成長余地① 高付加価値人材への転換

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デジハで働いている方の人数はとても多く、登録しているテスターは8000人とのこと。

既にテスター経験のあるゲームテスターたちが、他のテストエンジニアへとキャリアアップできるのは素晴らしい制度ですね。

テスターはどうしても適性がないと長く続かないと思います。単純かつ多くの作業量をこなしながら、チェックすべき多数の項目に注意を払い続ける必要があるからです。 

 

成長余地② エンタープライズ事業における外部リソースの活用

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従業員数の項で取り上げましたが、エンタープライズ事業は従業員数619に対し、外部103人です。増強の余地が大幅にあります。

 

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また、ベトナムのオフショア拠点の活用を開始するようです。いずれは利益率の高い施策になると思います。

 

【リスク・疑問点】

①減益続き

まず、16期連続の増収を達成していますが、4期連続の減益です。

特に直近3期は減益幅が大きめ。

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2018年3月期はこの通り。先行投資や事業拡大、EVO JapanというEスポーツ大会開催費。

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2019年3月期も先行投資、事業拡大

 

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2020年3月期はコロナとM&A、エンタープライズ事業の外注費ですね。

デジハは3月が期末ですから、コロナが一般に本格化した4月の緊急事態宣言の影響を受ける1Qの業績が心配です。

 

エンタープライズ事業におけるコロナの影響

自分はWeb開発の分野で働いていますが、4月になってから案件が止まってしまうような現場が急増しました。

とは言え急拡大中のテスト領域。まだ影響が見えにくいので、7月9日に発表されるSHIFTの決算で少しでも先回りしようと思います。

 

③参入障壁

デバッグは開発エンジニアより研修コストが低いはずです。

しかし、好みと向き不向きが分かれる職種だと思います。

新しい会社は今後できてくるかもしれません。

開発会社が丸ごといきなりデバッグ専門会社になるということは可能性が非常に低いと思いますが、SES(人材派遣業)などはデバッグ案件の比率を高めやすいでしょう。

 

【戦略・狙い目】

とにかく長期です。例え今期がコロナのせいもあって伸び悩んだとしても、デバッグアウトソーシングの流れが本物であれば来期は好業績に期待できると思います。

なので、1Q決算まではデジハHDに対する予算のうちの3割程度のポジションを取り、様子を見ながら本命を来期として集めて行きます。