月次で株価急落した西松屋チェーンを考えてた(ボツ記事)【7545】
12月29日に書いて内容がつまらなかったため没としましたが、タイムリーに上方修正が出たのでアップします(すけべごころです)
【株価と月次速報の数字】
西松屋チェーンが4営業日前につけた直近高値1864円から、月次速報を受け金曜終値1505円まで急落しました。
直近2ヶ月分のチャートです。
下落率は実に-19.2%です。月次速報の直前に4連続陽線で1700から1850へと上昇していたので、月次への期待が乗っていた株価位置であったと言えます。自分は期待で上昇したタイミングである程度の量を売るのが好きです。
1日で3日分程度の出来高を伴って1675の位置まで下落し、その上昇分を打ち消した後に続落しています。
正直どのくらいの数字が出れば今回の株価を維持できたのか見当がつきません。
四半期毎の小計で見ると、全店の売上高は1Q108.5%=>2Q112.7%=>3Q114.5%と順調に伸びています。
客数の伸びに対して売上高の伸びが高いので、コロナの影響でまとめ買い=客単価の伸びに繋がったであろうと推測します。
ちなみにこちらが前年度の月次です。今年の傾向と異なり、売上高より客数が伸びた傾向にあります。
しかし、1月度から売上高の伸びが上回ります。
特に2月度は高成長となります。閏年であったため1日多く、また土日祝日多かったのですが、西松屋はコロナがなくても伸びはじめていたのでは?と思った次第です。
ちなみに2月はコロナ感染者数はまだ1桁〜30人程度のタイミングでした。
3月の25日頃から感染者数は伸び始め、4月7日には緊急事態宣言、5月25日には全面解除されました。
【中期目標と経営戦略】
20年2月期の決算短信からの抜粋ですが、”2025年2月期を達成年度として売上高2,000億円、経常利益200億円の中期目標を新たに掲げております”とあります。
中間報告書によると、以下の経営戦略を掲げています。
https://www.24028.jp/ir/wp-content/uploads/sites/3/65houkokusyo_1014.pdf
1.プライベートブランドの拡大
2.店舗の大型化と人口集中地域への出店
3.インターネット販売の収益性改善と売上拡大
4.海外向け販売の拡大
5.店舗運営の効率化
最近はよく経済誌やTVなどでも取り上げられています
特に店舗運営が効率的とのことで、2人の人員で運営できる店舗システムがつくられ、店長は複数店舗兼任。接客が極力不要となるような様々な工夫がされています。
【業績の推移】
西松屋はめちゃくちゃ営業利益率が低い会社です。
昨年度実績で1.33%。しまむらで4.4%、ファストリで7.43%です。
中期目標で言ってしまえば計上利益率10%としていますが、実現できる数値とはあまり思えません。
とは言え注力されるでしょうから、改善は見込めると思います。
以下データです。
|
売上 |
前期比 |
売上原価 |
売総率% |
販管費率% |
営業利益 |
店舗数 |
店舗あたり販管費 |
||
17.Q1 |
35,894 |
|
22,350 |
13,543 |
37.73% |
10,588 |
29.50% |
2,955 |
888 |
11.92 |
17.Q2 |
32,274 |
|
20,583 |
11,692 |
36.23% |
10,540 |
32.66% |
1,151 |
892 |
11.82 |
17.Q3 |
36,970 |
|
22,207 |
14,762 |
39.93% |
11,103 |
30.03% |
3,659 |
893 |
12.43 |
17.Q4 |
31,135 |
|
19,942 |
11,193 |
35.95% |
11,087 |
35.61% |
106 |
908 |
12.21 |
18.Q1 |
35,492 |
98.9% |
21,449 |
14,042 |
39.56% |
11,378 |
32.06% |
2,663 |
917 |
12.41 |
18.Q2 |
33,147 |
102.7% |
21,165 |
11,983 |
36.15% |
11,225 |
33.86% |
759 |
922 |
12.17 |
18.Q3 |
37,161 |
100.5% |
22,305 |
14,856 |
39.98% |
11,582 |
31.17% |
3,274 |
937 |
12.36 |
18.Q4 |
31,509 |
101.2% |
20,180 |
11,329 |
35.95% |
11,168 |
35.44% |
161 |
951 |
11.74 |
19.Q1 |
36,511 |
102.9% |
21,839 |
14,671 |
40.18% |
11,422 |
31.28% |
3,248 |
970 |
11.78 |
19.Q2 |
32,639 |
98.5% |
21,321 |
11,318 |
34.68% |
11,441 |
35.05% |
-122 |
981 |
11.66 |
19.Q3 |
36,457 |
98.1% |
22,963 |
13,495 |
37.02% |
11,907 |
32.66% |
1,587 |
994 |
11.98 |
19.Q4 |
32,560 |
103.3% |
21,997 |
10,562 |
32.44% |
11,674 |
35.85% |
-1,111 |
1004 |
11.63 |
20.Q1 |
37,546 |
102.8% |
23,247 |
14,298 |
38.08% |
11,781 |
31.38% |
2,517 |
1010 |
11.66 |
20.Q2 |
33,806 |
103.6% |
22,260 |
11,547 |
34.16% |
11,837 |
35.01% |
-291 |
1010 |
11.72 |
20.Q3 |
37,327 |
102.4% |
24,334 |
12,993 |
34.81% |
12,311 |
32.98% |
683 |
1009 |
12.20 |
20.Q4 |
34,275 |
105.3% |
23,337 |
10,938 |
31.91% |
11,938 |
34.83% |
-1,001 |
1006 |
11.87 |
21.Q1 |
40,720 |
108.5% |
25,566 |
15,154 |
37.22% |
11,487 |
28.21% |
3,666 |
1011 |
11.36 |
21.Q2 |
39,691 |
117.4% |
25,361 |
14,330 |
36.10% |
11,550 |
29.10% |
2,780 |
1008 |
11.46 |
1Q&3Qの利益率が高いのが見て取れます。
こうしてみると直近2年は崩れ気味で、20年度3Qは特に酷く見えます。
PB比率を増やすことで利益率改善の1手となるかもしれませんが、いつでも低価格でお客様への還元や地域貢献を目指している以上、地道な改善になるかなと思います。
次はちょっと変わったグラフを作りました。
店舗数は20年度から停滞していますが、それまでは順調に増えています。売上に左右されにくいデータとして、店舗あたりの販管費は考えるべきに値するのかなと。
例えば四半期1店舗あたりのコストが0.5百万円削減できるなら、1008店舗あるので年間20億の削減になります。ちなみに昨年の営業利益が19億円です笑。
今年の1Q&2Qは昨年対比で0.28百万円改善しております。これに4*1008を掛け算すると11.29億円になるわけです。利益率の低い会社でしたから、ちょっとの改善で劇的に変化すると。
【3Q業績予想】
去年の3Qは、3Qとしてはここ4年で最も利益率が低かった年でした。
僅かな数値のブレが大きな差となってしまうので皮算用をする際は幅広くレンジで考える必要があります。
ここ4年間、営業利益で四半期毎の業績を見ると-10億〜+35億までの幅があります。
以下のように去年の3Qをベースに数字を考えると売上にしてちょっと低いかなという値が出ました。
①売上
去年の3Q単体37,327 月次の3Q114.5% = 42739.415
②売上総利益率
去年の1Q&2Qと今年の1Q&2Qで売上粗利益率は0.5ポイントほど改善。
去年の3Qの売上総利益率から0.5ポイントを足し算。
42739.415*(0.3481+0.005) = 15091.2874365
③販管費
去年の3Qの店舗あたり販管費から0.28百万円を引き算。
(12.20 - 0.28) * 1008 = 12015.36
④営業利益
15091.2874365 - 12015.36 = 3075.9百万円
上期累計で営利は6446百万円で1株あたり利益は72.3円です。
算出した3076百万円を加算すると、営利が9522で1株あたり利益は106円です。
今期業績だけで言えば4Qが利益出にくいとしても1株1500円は安くは見えます。
【雑感】
お恥ずかしながら初めて小売業をまともに見てみました。
商材ごとの売上の変化もわからない。KPIを数字出して細かく開示しているような企業ではないので、分析のやり甲斐を見つけることができませんでした。
増収要因のうち、どのくらいの割合がコロナの追い風であったのか判断することはとても難しいと思います。
扱っている商材に関しては現在の環境が追い風とは言えないのではないかと思います。今年は出生率がとても低くなりましたので、この要因は今後向かい風となります。
しかし車でいけるような郊外店舗が多いので、街中に人が戻ればその分業績が戻ってしまうかもしれません。
業績に関しては正直なんとも言えません。繰り返しになりますが、利益率がとても低いので利益率改善ができれば飛躍的に伸びるかもしれません。
個人的には原価率や販管費率において改善傾向が見られる会社が好みなので、触りにくいなと思います。
【追記】
GUからベビー服が登場しました。確実にパイが奪われます。大きなニュースだと思います。
https://www.24028.jp/ir/wp-content/uploads/sites/5/201201gyoseki.pdf
12月1日に西松屋から上方修正が発表されました。個人的な感想としては少し保守気味に感じます。
この程度の数字であれば月次の数字から見えていたはずだと思います。しかし自分の考えに反し、PTSでは安値1644〜高値1695、終値1685(+107)、出来高48100と大幅な上昇で終えました。
株は難しい。